冷却対策特集  第1回
ヒートシンク編

 

AI技術やクラウド化が進み膨大な情報を高速に処理する事が求められ、高性能化した半導体デバイスや機器の熱が課題となります。半導体デバイスや機器の性能維持するために冷却対策としてヒートシンク、サーマルインターフェース材料、ファンモーターを使用する事が一般的です。ヒートシンクでは冷却性能の高いモジュール、サーマルインターフェース材料では柔軟性があり高い熱伝導率を有した素材を求められます。当社では用途に適した部品と素材をご提案しております。今回はヒートシンクについてご紹介します。

 

 

発熱量と有効なヒートシンクの種類



熱量により有効なヒートシンクの種類があります。
低熱量のデバイスであれば押出成形ヒートシンクやダイカストヒートシンクで放熱可能ですが、CPUやパワーデバイスなどの発熱量の高いデバイスは冷却効率の高いヒートパイプ・ベーパーチャンバーを使用したモジュールが有効です。

 

  

ヒートパイプ冷却モジュール


ヒートパイプは物質の相が変化する時の熱エネルギー(潜熱)を利用し離れた部位に熱を輸送させる部品です。
銅製のパイプ内に作動液(純水)を封入し、受熱すると作動液が蒸気になり冷却側に移動し、熱を放出し凝縮し液体に戻り液体はパイプ内面に施されたウィックと呼ばれる部分を毛細管現象を利用し受熱側へ移動する現象を繰り返します。
低い温度差でも熱輸送を行う事が可能です。
ヒートパイプの熱伝導率は数千~数万Wであり金属に比べ熱輸送に優れ、ヒートシンクと組み合わせる事で放熱効率の高い冷却モジュールを実現可能です。
   
◆◆ 活用事例 ◆◆  
■ 放熱フィンへ熱を電熱させ冷却性能向上  
受熱ベースよりヒートパイプを利用してフィン部に伝熱する事でヒートシンクの冷却性能を向上させることが可能です。
    
■ 熱源から離れた部分で放熱する冷却設計(ノートパソコン)  
CPUおよびその他の発熱デバイスからヒートパイプで放熱フィンまで熱を輸送しファンを使用し筐体外部に放出。
機器内部の空間が少ない薄型機器で有効な冷却方法です。
    
■ 既存のヒートシンクおよび金属筐体の冷却性能向上  
押出成形やダイカスト成型のヒートシンクは安価ですが、熱伝導率が低くヒートシンク全体に熱が伝わっていない場合があります。
ヒートパイプを使用することでヒートシンク全体に熱を輸送し冷却効率を向上する事が可能になり、場合によってはヒートシンクの体積を低減する事も可能です。

 

  

ベーパーチャンバーモジュール


ヒートパイプと同様に中空構造の銅プレートに作動液(純水)を封入した部品です。
受熱部で気化した蒸気がプ空間内を移動し、放熱フィンに側に到達すると熱が放出され液体に還元されます。
ヒートパイプは線での移動となりますが、ベーパーチャンバーは面での移動となります。
ヒートシンクのベース面に使用することでベース面内の温度差を最小限にし、全ての放熱フィンに電熱をする事が可能になり、冷却モジュールの高さを薄くできるなどのメリットがあります。
また、スマートフォンなどのモバイル端末では放熱フィンを設置するスペースがないためヒートスプレッター(熱拡散板)として実用されています。
   
【ベーパーチャンバーの熱拡散性能】
 
 
熱対対策に使用される銅・アルミニウムとの比較です。
全て同じ厚み、寸法で温度分布を赤外線カメラで測定しています。
測定は素材を縦置きし、熱源を上部に設置した状態で温度分布を測定しています。
ベーパーチャンバーは受熱後瞬時に熱拡散するため、面内での温度差が小さく均熱されています。
銅・アルミニウムプレートは温度差があり、ピーク温度も高くなります。
放熱フィンと合わせる事で放熱効率の高いモジュールを実現できます。
    
【モバイル機器用途のヒートスプレッダー】
 
 
モバイル機器では薄く、熱拡散性の高いヒートスプレッダーが要求されます。
銅ベースのベーパーチャンバーを薄くすると機械強度が確保できず取扱い性に課題があるため、SUS素材をベースにする事で同一厚みでも機械強度を上げる事が可能になります。

 

  

  

サーモサイフォン(開発技術)


重力を利用した循環を行うシステムのため冷却部が受熱部よりも上部に設置する必要となります。
ウィックなどを利用したヒートパイプと違い毛細管現象の限界がなく、蒸気経路と還元経路が別になっているため熱輸送限界も高くする事が可能です。

高発熱半導体デバイスの冷却に有効です。

 

  

  

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